夏休みの魔法



「……あたしだって…あたしだってそうだよ!蒼のこと、大切だよ!!」


電話の向こうで、息を飲む音が聞こえた。


「蒼、あたしをなんだと思ってんの!?あたしが蒼のこと大切に思ってないのでも思ったの!?」


『そんなこと、ないけど…。優来は、俺が心配してんのに気づいてくれねぇから…』


「…蒼は不器用だからね。でもさ、心配してくれてるのも優しいのも、分かってるから」


『…優来…。ありがと、な…』


「ばーか、蒼らしくないよ」


『はっ…そうだな』


ははっと笑う蒼の声が聞こえた。


よかった…蒼だ…。


やっぱり蒼はこうでなきゃ。