夏休みの魔法


とりあえず部屋に入って、あたしはベットに腰かけて、蒼は床に座った。


「…俺にはお前の気持ちも分からなくもないし、あの人の気持ちも分かる。どうするかは、優来が決めることだ」


蒼は、あたしを見てそういった。


「…分かってるんだけど…。なんで、あたしが入れって言われたのかな…。嫌ってるから?」


「さぁな。でも、人生経験としてはいいんじゃねぇの、男装してみるのも」


「バレたらどうするの」


それが一番怖いかも。


そしたら、蒼はふっと笑って。


「大丈夫。バレて、みんなに怒られたら俺も一緒に怒られるから」

って言ってくれた。


「…卒業、できなくなるかもよ?」


蒼はずっと一生懸命やってきた。

卒業して、COLORFULのみんなと芸能界で生きていくために。


「そしたら、俺がCOLORFUL抜ける」

真剣な顔で言われて、一瞬何を言われてるか分からなかった。





「!?バカじゃないの!?なんで、あたしのために…っ…」


「優来には、ちゃんと理解してほしいから」




だから、何を…?


あの人のことを?


芸能界を?




分からないから、だから。










「…分かった。あたし、START事務所に入る。入って、答え、見つける」





あたしは、夏休みだけ。


芸能事務所に入る決意をした。







…大好きな、COLORFULのみんなを…騙す決意をした。