夏休みの魔法


「あたし、蒼のことなら分かってるつもりだった。ずっと一緒にいたじゃんか!なんで…なんで…?」


蒼は、何を思ってるの?

あたしには分からないこと?


辛い、辛いよ…。


『…優来』


優しい蒼の声。


『俺、お前を苦しめたいわけじゃないんだ。辛そうな顔させたいわけじゃないんだ』


「………分かってる」


『…幼なじみだからって、なんでも知ってるわけじゃないんだよ』


「…分かってる」


分かってる、分かってる。


そんなことは分かってた。


でも、分かってると思いたかった。


蒼が、ずっとずっと大切だから。


『優来…俺だってさ、お前のこと分かってると思ってたよ、今だってそうだ』


蒼の声が、少し感情的になってきた。


『…さっき、お前にとって俺は何って聞いたよな』


「うん…」


『俺にとってお前は……』


一度言葉をきって、蒼は続ける。







『大切な、幼なじみで!一番仲のいい女の子なんだよ…!』