夏休みの魔法


「…僕だったら、誰にも迷惑はかけません」


「本気で言ってんのか!?」


俺は思わず千来の肩を掴んだ。


その肩は、俺よりもずっと華奢で、微かに震えていた。


「…だって、頑張るって決めた。話してみるって、決めた…!それを後押ししてくれたのはみんなだから、だからっ…」


何を言っているのか、全く理解できなかった。


「……言うだけで、何もしないのは嫌だ…。嘘つくのは、辛い…」


もう何度も見てきた、泣きそうな顔。

それでも、泣いたところを一度も見たことはない。




…自分に嘘をつけない千来が、何を嘘ついているのか。


泣かないのはなんでなのか。


さっきの言葉の真意はどこにあるのか。




俺は、やっぱり何も分からなかった。