夏休みの魔法


水月が持ってきたボックスに、木崎さんは手を突っ込んだ。


「うわ~、ドキドキする…」


ガサガサと中を探って、取り出した一枚の紙。


木崎さんが、その紙を陽汰に渡す。


陽汰が紙を開けて、読み上げた。



「お題は~、ずばり、家族のこと!!」



おーっ!と、歓声が湧き上がる。



家族かぁ…木崎さんにはよく聞かせてもらってるな~と思い、ふっと木崎さんを見た。


そしたら一瞬、辛そうというか、苦笑いというか、なんとも不思議な表情をしていた。


でもそれもすぐに消え、笑顔で話し始めた。


「家族は…一番大切なものだよ。俺には子どもが三人いるけど、みんな可愛くて。…こんな職業だから無理させてるけど、大切なことに変わりはないよ」


そう言う木崎さんは、とても優しい顔をしていた。



家族の話をするときだけ、見せる顔。



本当に、大切なんだなって…伝わってくる。