木崎さんの曲が終わって、次はトークだった。
千来を置いて、中央に用意された椅子に向かう。
「ありがとうございました~!さあ、次はたくさんしゃべっちゃってください!」
トークへの振りは、陽汰の役目。
明るいから、話しやすい雰囲気をつくってくれる。
「いやぁ、まさか呼んでもらえるとはね…。思ってなかったから、楽しいよ」
木崎さんは座りながらにこにこと言った。
「そんなそんな…とんでもないです、大先輩なんですから!来ていただいてありがとうございます!」
夕哉が慌てて言う。
「成長したCOLORFULと共演できるなんてね、嬉しいよ」
…木崎さんは、誰に対しても親切で優しい。
俺たちみたいな見習い相手にでも。
そこがすごいと思って、憧れてて。
俺も、尊敬されるような人になりたいなって。
…俺が、こんなんだからかな。
だから、千来の気持ちを分かってやれないのかな。
『恋は盲目』
そんな言葉があるけれど。
恋でなくても、俺は盲目なんだ…。
自分のことしか見えなくて、周りにまで気を配れない。
だから、いつも、失敗する。
いつも、終わってから、失ってから気づく。

