幸い、呟いた声は始まった音楽にかき消された。
COLORFULが、こちらへはけてくる。
あたしはまだぼーっとしていた。
「千来」
北斗くんに声をかけられなければ、ずっとそうしていたかもしれない。
「はっ、はい!」
怒られる……そう思って、ビクビクしていると、かけられた言葉は想像と違っていた。
「…言わなくてごめん。もし、もし本当に木崎さんが嫌いで、何か言われたりされたりして、どうしても嫌だったら俺を呼んで」
え……?
驚いて俯いていた顔を上げると、北斗くんは少し微笑んでいた。
「大丈夫、千来のことは、俺が守るよ」

