夏休みの魔法


幸い、呟いた声は始まった音楽にかき消された。


COLORFULが、こちらへはけてくる。




あたしはまだぼーっとしていた。





「千来」


北斗くんに声をかけられなければ、ずっとそうしていたかもしれない。


「はっ、はい!」


怒られる……そう思って、ビクビクしていると、かけられた言葉は想像と違っていた。



「…言わなくてごめん。もし、もし本当に木崎さんが嫌いで、何か言われたりされたりして、どうしても嫌だったら俺を呼んで」


え……?


驚いて俯いていた顔を上げると、北斗くんは少し微笑んでいた。






「大丈夫、千来のことは、俺が守るよ」