夏休みの魔法


瞬間、ふっと照明が消された。


視界が黒で埋め尽くされる。







そのとき…後ろで、ある気配がした。






『今日のゲストは…この方!』


陽汰くんの、元気な声がする。



後ろの気配は消え、かわりにあたしの横を誰かが通った。


そのときに、頭を軽くぽんっとされた。







次の瞬間、照明がステージ中央に向けられた。


そこだけが、照らされる。






そこにいた、今回のゲストは…






『俺たちの大先輩、クールビューティーなこの人!…木崎重吾さん!!』


北斗くんの声が、いやに遠くで聞こえた。






にこりと妖艶な笑みを浮かべるその人に、悲鳴に近い歓声が湧き上がった。


その声すら、小さく聞こえる。






「…お父、さん…」