夏休みの魔法



午後6時、ちょうど。


ステージの幕が、あげられた。


瞬間、響き渡る歓声。

ステージの前には、40人近くの観客がいた。

ほとんど女性だけど。


この観客は応募者の中から抽選で決められるらしいけど、倍率が半端じゃない。




『みんな~、今夜も僕たちと楽しんでこうね~!』


最初は、空くんの声で始まった。


『夢のようなあまーい時間、一緒に作ろう!』

夕哉くんの甘いセリフに、観客はすでにメロメロ。


…あたしももちろんメロメロだった。





オープニングはダンスらしく、キレのある動きのCOLORFULが見られた。

その後は他の見習いが出てきて、踊っては交代、踊っては交代…の繰り返しだった。



そして、オープニングの最後。


もう一度COLORFULが出てきた。




『俺たちのダンスに翻弄された~!?』

蒼の問いかけに、キャーッと声があがる。


『それじゃあ、ゲストの登場といたしましょうか』

水月くんが落ち着いた口調で言った。



…ゲスト…?

リハーサルのときにそんなことは聞かなかった。


今回はゲストがいるの?



確かに、この番組はゲストが登場することがある。


でも、あたしは何も知らなかった。







ふいに、知らないことに対する不安が溢れてきた。