夏休みの魔法


一人萌えていると、北斗くんがぷーっと頬をふくらませた。


「甘党だっていいじゃん、甘いの好きなんだもん」


拗ねているように、飴を口にいれてそっぽを向く北斗くん。


どうしよう、やっぱりすごく可愛い…!


「だ、大丈夫ですよ、僕も甘党ですから!」

「え、ほんと?ケーキとか美味しいよね!」


どうやらあたしのフォローは当たりだったらしく、すぐ笑顔で話してくれた。


「はい、好きです!」

「何が好き?俺はね、ショートケーキ!」

「僕もです」


「…なんか、息あうな~、さすが俺と千来!」


「ちょっとよく分からないんだけど、北斗」


水月くんのつっこみに、あたしも少し賛成です。


でもにこっと笑う北斗くんが見られたから、それで満足。




「…水月くんは、甘いのにがてそうですね」


「ああ、苦手だ。なんであんなに甘いものが食べれるのか分からん」


「ちょっ、それ俺に対するイヤミ!?甘いものは正義だって!」


「お前の頭がどうなっているのか知りたいよ」


呆れた顔をする、水月くん。

それから、二人の言い合いになってしまった。


ぼーっと呆気にとられて見ていると、夕哉くんが話しかけてきた。




「…北斗、お前が来てからだいぶ明るくなったんだ。前は、俺たちにも少し距離をとってて、自分のテリトリーには入らせないやつだった」


ああ…なんとなく、そう感じてた。


「それが今は…よく素でいるようになったし、演技じゃなくて、笑うようになった。…それが、メンバーとしても友だちとしても、すごく嬉しい」


そう言って北斗くんを見る夕哉くんは、すごく優しい顔をしていた。






こんなにも、自分のことを思ってくれている人がいるって、北斗くん、気づいてるのかな…?



気づいてほしい。





そしたら、きっと…







もう、悩まなくてもいいから。




メンバーに頼れるから、甘えられるから。