夏休みの魔法


しばらく、沈黙が流れた。



どうやって蒼に伝えればいいんだろう。


弱音を吐きたくないのに。

弱さを見せたくないのに。




俺には、それができるだけの強さがない。





「…俺、さ。このままでいいのかって、思うときがあるんだ」


ぽつりぽつりと、俺は話し始めた。


「もし、本当にもし、俺が今COLORFULの如月北斗じゃなかったら…どうなってたんだろうって、ちょっと考える…」


考えても、俺はそれを経験していないし、することはない。

だから、答えなんて出るはずはない。



「COLORFULのみんなと出会うこともなくて、こんな世界に入ることもなくて。…何も知らないまま、平凡な毎日を送ってくんだろうなって考えたら、なんか…悲しくなったって言うか…」

自分の感情を、うまく言葉にできない。


それがもどかしい。





「もう俺は、世間一般でいう『普通』にはなれないんだって思ったら…この道を選んで、本当によかったのかなって…」





バカだなぁ、俺は。


こんなこと、メンバーに言う話じゃないだろ。