夏休みの魔法


「あー、変わってないなぁ…」


「え?北斗、ここ来たことあるの?」

並木道を歩きながら呟くと、蒼が驚いたように俺を見た。


「二年前に、一回だけ。…なんで来たんだっけ…?」

そういえば、蒼みたく家から近いわけでもないのに、なんで俺はここに来たんだ…?


「…なんだっけ…」


考えても思い出せない。

困って蒼を見ると、ため息をつきつつもヒントを出してくれた。


「俺はお前の二年前を知らないっつーの…。誰かに会うとか、遊びに来たとか…いろいろあんじゃんか」


「ああ…うーん…」


ほんとに思い出せない。




頑張って思い出してると、道が開けて小川が見えた。

小川まで降りるには、草が生えているちょっとした坂がある。


降りたところには木が植えてあって、木陰にベンチがおいてある。




「…あーっ!?そうだ、思い出した!」


「おお!?大きな声出すなよ!お前、ほんとみんなといるときとキャラ違うな!」


「え?みんなといるときもこんなんじゃない?」


「…ちょっと違う」


そうなんだ?

自分じゃよく分からない。


「で、なんで?」



「あのね…ぼーっと考え事しながら歩いてたら、道に迷ったんだった」



迷って、でもそのまま歩き続けたら緑がいっぱいになって帰れないって思ったら、そこは公園だったっていう…。


なんともしょうがないオチ。



「なんだよ…。つーか、よく歩き続けたよな…」


蒼に呆れられたくないよ。


…あのときは、ほんとに悩んでたんだよ。