夏休みの魔法


ぼーっと考えてると、蒼が覗き込んできた。


「もしもーし、北斗くーん?聞いてますかぁ?」


「あー、はいはい、聞いてますよ」

うっとうしいな、こいつ…。

少しだけ考えさせてくれよ。


「ていうか、好きな人なんていないよ」


…俺はあの子のことが好きではないんだろう。


……だけど正直分からない、どこからが恋愛としての好きでなのか。


「はぁ~、ちょっとどっか行こうぜ」

俺は立ち上がって出て行こうとした。


「は!?どこ行くんだよ、つーか勉強教えてくれるんじゃ…」


慌てて立ち上がる蒼を振り返って、思った。


…こいつにはもう勉強教えてやんねぇ。

つーか、教えれねぇわ。





蒼は、俺が何を思っているのか分からないといったように、きょとんとしていた。