ぼーっと考えてると、蒼が覗き込んできた。
「もしもーし、北斗くーん?聞いてますかぁ?」
「あー、はいはい、聞いてますよ」
うっとうしいな、こいつ…。
少しだけ考えさせてくれよ。
「ていうか、好きな人なんていないよ」
…俺はあの子のことが好きではないんだろう。
……だけど正直分からない、どこからが恋愛としての好きでなのか。
「はぁ~、ちょっとどっか行こうぜ」
俺は立ち上がって出て行こうとした。
「は!?どこ行くんだよ、つーか勉強教えてくれるんじゃ…」
慌てて立ち上がる蒼を振り返って、思った。
…こいつにはもう勉強教えてやんねぇ。
つーか、教えれねぇわ。
蒼は、俺が何を思っているのか分からないといったように、きょとんとしていた。

