夏休みの魔法


「…しねぇよ、絶対。俺にとって、兄弟みたいなもんだから」


…そうか、蒼は一人っ子か。



「うらやましいね~、幼なじみ」

ぼそっと呟いたら、蒼が突拍子もないことを聞いてきた。




「北斗はいねぇの?幼なじみとか、好きな人とか」




「はぁっ!?」

好きな人とか、普通芸能人見習いに聞くか!?


「いないのか?」


「……幼なじみは、いない」


「…幼なじみ、は?」


ニヤニヤしている蒼がうっとうしい…。



「好きな人も、いないよ」


言ってから、ふと思った。




あの女の子は、俺にとってなんなんだろう。


大切な人ではある。



じゃあ、好きな人かと聞かれたら、俺はなんて答えるだろう。




たった一度会っただけで、大切な人?

それだけで、好きな人?







俺は、おかしいのだろうか…?