夏休みの魔法


「…蒼~、暑い」

「俺に言うな、つーかお前、俺ん家上がり込んできてベット占領してなに言ってんだ」



夏も真っ盛り、今日は一段と暑い気がする。


オフだったから、俺は蒼の家に来てみた。

別に特に用はなく、ベットに寝転がって雑誌でも読んでみたけど…。


「あー、さすがに暑いな…。蒼、何やってんの?」

さっきからずっと机に向かってるんだけど。


「宿題、北斗もあんだろ?やらなくていいのかよ」

こっちを見ずに、言う。

ああ、そんなものもあったな~。

「俺はいいんだよ、終わってるし」


「はあ!?ウソだろ!?同じことやってんのにか!?」

あ、やっとこっち向いた。


「蒼と一緒にすんなよ、俺は夏休み前にさっさと終わらせるタイプなんだよ」


どうせ同じことやるなら、早く終わらせた方がラクだろ?


「お前、ほんとすげーな。尊敬するわ」


「蒼、間抜け顔だよ。仮にも芸能人見習いがその顔はないと思うぞ」


「別にいーじゃねえか、カメラまわってないし。…北斗、あのさ」

「宿題なら手伝わないよ」


同じ内容だけど、めんどくさいのは御免だと思い、先手を打つ。






「手伝わなくていいから、教えてくんねえ?」





俺が、蒼に、勉強を?



「まあ、それくらいならいいけど…」