「…あいつは、そんなに弱くねぇよ」


ぽつりと、蒼が呟いた。


「なんで蒼がそんなこと言えるんだよ」

まるで、千来のことをよく知っているかのように。


「見てれば分かるだろ?あいつ、ちゃんと芯あるじゃん。決めたことは最後まで絶対やり通すから」


…だから、なんでそこまで言い切れるんだよ。


問おうとしたけど、俺を見てくる蒼の瞳が大丈夫だと言いたげで、何も言えなかった。




「……とりあえず、北斗は千来と仲直りしてこい。いろいろと疑問はあるが、話はそれからだ」


水月が腕を組みながらそう言った。


「ああ、探してくる」



早く、早く。



俺は平常心を保ちつつ、勢いよく楽屋のドアを開けた。