夏休みの魔法



「…家族って、なんだろ…」


助け合うものだとか、大切なものだとか、そんなキレイゴトはいらない。







「……一緒にいて、安心できる場所。そこには、絶対に自分の居場所があるんだ。…俺はそれが家族だと思う。優来にはないの?そういう感情」




安心できる…?



「あたし、は…」




お父さんは、あたしをどう思ってるんだろう。


一緒にいたいと、思ってくれてるのだろうか。




「優来、木崎さんはね。いつも優来とか未来にぃとか希来のこと話してるよ」


…え…?


笑顔で言う蒼が信じられなくて、あたしは目を見開いた。




「元気にしてるか?最近どうだ?変わったことはないか?…俺と会うときは、いっつも聞いてくるよ」



「…うそ…」


メールだって、電話だって…まともにくれないのに。



「木崎さんだって、やっぱり家族は大切なんだよ。できるなら、一緒にいたいと思ってるんだよ」