夏休みの魔法


ガチャっと鍵を開けて、ドアを開ける。

「どうぞ」

「お邪魔しま~す」


蒼はリビングに行って、カチッと電気をつけた。


「麦茶でいい?」

「おう、サンキュー」


ソファーでくつろいでいる蒼の前に、麦茶の入ったコップを置く。


「…っはー、生き返る~」

「おっさんか。まだいる?」


「いや、いい。…本題に入ろうか」


蒼の真剣な顔に、あたしは麦茶を飲むのをやめた。




「…木崎さんに、会ったんだな」



「……うん。一方的に怒ったんだけどね、あたしが。…ごめんって、言われた」


「木崎さんを許す気は」

「ない。どうせまた、お母さんを泣かせる」


「…熱愛記事と、家に帰ってこないのが嫌いな原因?」


「そうだよ。…子どもの誕生日すら、帰ってきてくれない。写真だって、一緒に写ってるのなんてそんなにない」



…そんな人を、嫌いにならずにいられる?






「あたしは、それをガマンできるほど大人じゃない」










あたしが望むことを聞いたところで、あの人はきっと何もできないし、してくれない。