夏休みの魔法


驚いて顔をあげると、北斗くんと目があう。





「言わなくていいけど、頼れ。……俺の前では、泣いたっていいんだぞ?」




優しく笑う北斗くんに、泣きそうになる。


それでも、ぐっとこらえて北斗くんを見る。




「泣きません。決めたんです、夏休みの間は何があっても泣かないって」



「……ん、分かったよ。でも本当に辛くなったら言えよ?助けてやるから」



やっぱり、北斗くんは優しい。


…大好きだ。





「はい、北斗くんもですよ!」


「ばーか、俺は大丈夫だっつーの」


「大丈夫じゃなくなったときですよ」


北斗くんは少し驚いた顔をして、でも優しく笑った。





「…ああ」