夏休みの魔法



…いつも、未来にぃは鋭い。


ほんわかしてそうに見えて、実は家族のことをちゃんと見てる。


「…なんで、分かるかなぁ…」


少し笑いながら言うと、向こうで微かに息を飲むのが聞こえた。


『…で、何か話したか?』


「話したよ。……やっぱり、嫌いだ…」



最後に、ごめんなと言われたけれど。


そんなんで誤魔化されない。



『優来…。分かってやれるだろ?俺たちのために働いてくれてんだぞ』


「家族といる時間が減って、家族が悲しがっていても?それでも感謝しろって?」


そんなの、あたしには無理だ。


「……未来にぃ」


『ん?』









「ただ、一緒にいてくれたら、それだけでよかったんだ」




有名じゃなくても。


かっこよくなくても。





ただ、一緒にいてくれるだけでよかった。