夏休みの魔法


階段を駆け下りて、COLORFULの楽屋に行こうとした。


…だけど、やっぱり気まずい。



どうしよう、どうやって謝ろう。


ここは率直にさっきはごめんなさい、か…。







とりあえず楽屋に向かって歩いていると、迷った…。


ため息をつくと、またバイブ音がした。


取り出して見ると、未来にぃだった。



あたしは嬉しくて、すぐに通話を押した。


「もしもし、未来にぃ?」


『久しぶり。なかなか会いに行けなくてごめんな。どう、ちゃんと生活できてる?』


「うん、できてるよ。そっちは?希来、頑張ってる?」


受験生だし…ちゃんと勉強してるのか…。


『ああ、ちゃんとやってる。あれなら大丈夫だろ』


「希来が受かったら、全員だね」


そう、あたしが通っている高校は、未来にぃの母校。


『家族全員、な』



「…そっか…」


家族、全員…。


『優来?』


急に声が落ちたあたしを心配する声。


『…まさか、会った、のか?』