「そこまで言う必要はないだろ。それに神埼くんは逃げ切れたかもしれないだろ。」


「うっ……た、たしかにそうね。


要くんは生きてるわ。絶対に。


そうだ!ねえ、伊織さん?あたしと勝負しない?」



姫華が余裕ぶった顔で言ってきた。



「なにを?」



「要くんを見つけるの。先に見つけたものが要くんとペアになるっていうルール。どぉ?」



要を先に見つけた方がペアに……



もし、負けたら要くんとは……



「やらないって言ったら?」



おそるおそる伊織は姫華に聞いてみた。



「やらなかったら?そんな答えでいいと思ってるの?

やらなかったら、要くんを探さない。


見つけたら、すぐに私のものになってもらう。


ただそれだけよ。」


この勝負は避けられない。



避けたら……絶対だめ。


伊織の中で何か熱いものがめらめらと燃え盛っていた。