伊織はおもいっきり息を吸い大声で叫んだ。


「姫華ちゃーん!田村さんたちのボートに乗り込んでーー!!」



そう言うと二人は一生懸命もがいた。



鮫がいる。



容易には近づけない。



伊織は次の行動に移った。



血のついた布をできるどけ遠くに投げた。



すると、鮫たちはその布の方向に食らいつくように泳いでいった。



「今のうちに乗って逃げてーー!」


伊織はまた大声で叫んだ。



二人とも助かって……


伊織は心の中で何度もそう願った。