すきなひと



その翌年、私は失恋した。


「おれ、田中のこと、すきみたい」

啓は爆弾を落とした。
私の部屋で。

「おま、田中のことすきなのか!?」

目を丸くする尚。

「へぇ、いがい」

興味なさそうな彰良。


オレ、タナカノコト、スキミタイ


タナカノコト、す き み た い


ショックだった。啓は、私の気持ちには、答えてくれない。啓は他の女の子が好きなんだ。


啓と尚が帰ったあと、彰良が口を開いた。

「けいはばかだから」

彰良は、知っていたのだろうか。
小さい頃から頭が良かったから、知っていてもおかしくはない。



そのあとにも何度かこういうことがあったが、決まって彰良は

「啓はばかだから」

とそれだけ言うのだった。