すきなひと



啓はモテるから。
中学を卒業するまでに何度か告白されたようだった。

私はその度に泣いた。


「啓……」

ミンミンゼミが鳴いている。
奥さんを見つけるために頑張って鳴いている。



「啓のこと、好きだよ」



啓が好き。


「それって……」

「私は啓と付き合いたいって思うよ。好き」

啓は申し訳なさそうに俯いた。

「エミは、ずっと俺たちのお姫様的なポジションだけど、そういうんじゃなくて…………エミは俺にとって妹みたいな存在で……」

啓を見てたら、私が申し訳なく思ってしまった。

「ばかね、そんなのいいの。それに、私は妹じゃなくてお姉さんでしょ!」

そう言って笑った。笑わないと泣いてしまいそうで。

セミが、泣いている。