しばらく歩いていると、女性に会った。
「あら、ガールフレンド?」
見た瞬間鼻血もんだった、格好が。
白いワンピースからすらりと覗く、白い足に、豊満な胸。
なんという女の希望が詰まった人だ。
「……兄さん、いくら暑いからってハレンチだよ。それにこんな地味な子は、僕のタイプじゃない」
じゃあなんで私を連れてきたんだよ。
と、柄にもなく笑顔で殴ってやりたくなる。
ん?
「今、兄って言った?」
気のせいだよね、そうだと願いたい。
「どうも、この子の兄です」
さっきの声は裏声だったのか、と気づかされた。
地声らしき声は、男性。
私は、何かを失った気がした。