その指に触れて

ある日、いつものように美術室に行ったらキャンバスがなかった。


「……あれ?」


今日は月曜日。


金曜日から昨日までは学校に来ていなかった。


「……ん? 万梨ちゃん?」


奥の扉から遥斗が顔だけを覗かせていた。


美術室の奥は小さな準備室になっている。


「キャンバスは?」

「もう出したよ」

「え? もう終わったの?」


確か木曜日の時点で八割がた終わっていたような……。


「土日フルに使って仕上げた。始めたら止まらなくなって」

「……なんか、やつれてない?」


準備室に入って間近で遥斗を見上げる。


顔のわりに大きいと思っていたメガネが、今日は一段と大きく見える。


「……何したの?」

「いや、何も。まあ、土曜日から何も食べてないってのはあるけど」

「はあっ?」


そりゃあやつれるわ。