「おかえりなさい、里緒菜様。 夕ご飯の支度ができていますよ。」 玄関に入るなり、早速待機していた使用人が私へと歩み寄る。 年上なのに敬語を使われるのは、10年近く経った今でもやはり慣れない。 「ああ、ただいまです…」 ついつい変な日本語になる。 だが使用人は特に気にすることもなく、私の鞄を代わりに持とうとしてくれる。 「夕ご飯は…」 「あ、制服着替えたらすぐ頂きますっ!」 「かしこまりました。」