部屋にいない彼女 代わりに残された、ベッドと床に付いた大量の血・・・ 「ウソ・・・だろ・・・」 「つまり斉藤は・・・清来の連中に部屋で襲われた、ってことですか?」 大量の血痕は争った際生じたもの・・・ 分析するように冷静な上沢の言葉に、 「いや」 有沢の瞳がかすかに細められる 「清来側はそもそも斉藤の存在なんて知らない」 自分らが捕えてる兄を助け出すために黒凪にいることも、素性も顔も・・・ 向こうは何も知らないはず つまり清来が斉藤を襲う理由も連れ去る理由も・・・動機が全くないのだ