一言『ここから出ていけ』とか、
『二度と顔を見せるな』とか…
言ってくれれば、もう二度とこの人たちを傷つけなくて済むかもしれないのに…
「あのさあ」
服の袖で涙を拭った瞬間、
頭に何かが触れた。
穏やかで優しいこの手つきは…見なくてもわかる。
水城の手だ。
顔を上げると、やっぱり自分を見下ろす彼がそこにはいる。
水城の笑った顔は、
どうしてこうも心を落ち着かせてくれるんだろう。
最初出会った頃は…正直近寄りがたいと思ってた。
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