恐怖で目を見開く私と離島の側に、背後にいた世相が静かに歩み寄る。 「そろそろ離しなよ、奏太。」 そして私の髪を容赦なくつかみあげる彼の手から、やんわりと解放させてくれた。 離島の指には、何十本もの自分の髪の毛が…。 「惜しいね。ちょっとはおもしろいヤツだと思ったんだけど。」 ふと、助けてくれた世相が私を見下ろす。 それはどこか冷めたような、軽蔑する目。