ダメだ


思い出せない






…けど


一度明らかに負けているのは確かだ。





自分の剣が、何度も番沢に届かなかったのを覚えてる。







『黒凪をバカにするのもいい加減にしろ。』




番沢の私を見下ろした冷たい視線も



それから…









『…もう、やめとけば?』




…有沢千景に、指の骨を折られかけた。






「…っ!!」




瞬間、体中を大きな戦慄と震えが駆け抜ける。







こちらを見下ろしていた、


怖いくらいに綺麗だった顔…






いや、


綺麗だったからこそ怖かった。