-コッ、コッ、コッ… 長く薄暗い廊下に 規則正しい革靴の音だけが静かに響き渡る。 そこには、 里緒菜を抱えて歩く有沢千景の姿があった。 そして… 有沢の視線は、腕の中で眠っている里緒菜へと向けられていた。 その目、表情からは何の感情も読み取れない。 ただ、赤い瞳に里緒菜の顔が映し出されているだけ…。 やがて部屋へたどり着くと、有沢はドアを開けて中に入った。