「番沢さんに勝とうと思わなくていい。」
「それってどういう…」
「お前らは、剣の『型』と『裁き』だけに集中すればいいんだ。」
剣の、型と裁き…?
つまり、
「剣の基本の扱い方を審査する、ってことですか?」
「その通り」
剣の、基本。
私の目に微かな希望が走った。
剣の基本的な扱い方が審査の対象なら、もしかしたらいけるかもしれない!
実は幼少の頃、要に教えられたときがあったのだ。
もう随分昔のことだが…大丈夫。
体が覚えてる。
「番沢さん相手に勝敗はこだわらなくていい。
お前らは…剣の形をいかに良く見せるかだけを考えろ。」
「はいっ」
返事と共に、
私は力強く頷く。

