数秒前確かに絡み合った、 赤い目… 「彼自身」なのだ-‥。 彼の存在そのものが、 私を恐怖で蝕んでいってる。 ダメだ。 余計なことは考えちゃダメ。 今は、 このテストに合格することだけ考えるの。 心の中の恐怖を無理やり隅に押しのけて、私は櫻井さんの言葉にと耳を傾けた。 「…負けても、不合格にならないんですか?」 「ああ、ならない。 お前らがまずあの番沢さんに勝てるなんて、誰も期待してないよ。」 微かに眉を寄せた上沢の問いかけに、櫻井さんは穏やかな笑みを浮かべる。