最初見たとき、確かにキレイだと思ったはずなのに
あの口元に浮かべられた笑みも、月夜の下で優しく感じたはずなのに
今は、
怖い…
ドクン、ドクンと、
心臓が早鐘を打ち、
「…う、あ…」
息が詰まりそうになったそのとき、
「いいか、お前ら!」
「…っ!!」
ちょうど私の視界を、櫻井さんの大きな体が遮った。
あ…
体が、まるで長い呪縛から解き放たれたように軽くなる。
「これはテストではあるが、番沢さんに勝てなかったからといって不合格になるわけじゃない。」
何だったんだろ、今の…
有沢千景は、なんで私を見ていたの…?

