彼は月を見つめてる。





だが不意に、





「え…」






こちらを振り返った。







「…っ!!」




しかもただ振り返ったのではない。




彼は笑みを浮かべている。



まるで初めから、私の存在を気付いていたかのように…。




私は驚いて思わず固まる。




だけどなぜか、彼から目を離すことができなかった。





そして彼も、同じように自分から目を離そうとしない。








なんで…







だがそこへ、






-コンコン



「斎藤、いるか?」

「っ!!」




誰かが、来たようだった。