「ああ。泣かせた。」 「おいおい、開き直んなよ。」 「けど…」 奏太の口角が、密かに上がる。 「おかげで面白い女に会った。」 「…ほう。」 皐月の目に初めて驚きの色が走る。 「珍しいな。お前がそんな風に、女に興味を持つのは」 「奏太が興味を持つ女は、ある意味いっぱいいると思うけど。」 と千景。 「いや、今回は結構本気だぜ?」 だが奏太は余裕の笑みで笑ってみせた。