池田屋事件から一カ月後。







あの夜の惨劇が嘘のように京の町は賑わっている。

新選組も同様、池田屋事件から勢力をさらにあげ、隊士の数も当初より倍以上になっていた。


逆に、八月十八日の政変や池田屋事件からだいぶ人数が減った長州屋敷は、まだ仲間を失ったの傷の癒えない者が大半で静まりかえっていた。





そんな長州屋敷の中でカサッと音を立てながら文を開いてゆく私。



長州が今、どんなに大変な状態だろうが、自分がどれだけ苦しい状態で仕事に明け暮れる毎日であっても
丁寧に包み、丁寧な字を書く。





....兄様らしいな。

そんな事を思いながら文を開いてゆく。