六月五日 ー 昼 ー 「わかりました。すぐに伝えに回ります。」 私は慌てて、男用の袴に着替えると、素早く腰に刀をさす。 「永久さん!気をつけてください。」 桂さんが駆けてゆく私に声をかける。 私は振り返り、コクリと小さく頷くと池田屋へと向かう。 京の町は祇園祭で賑わっており、ただでさえいつも人が多いのに、今日は祭りのためか混雑していて中々前に進めない。 早く池田屋に行かないと行けないのに! 私は、人ごみを出来るだけ避けるように急いで池田屋へと向かう。