私は梅の花なんかじゃない。


梅の花はきっと岡田だよ………。



私はそっと簪を握り締めると涙を拭いた。





泣いていたってなにも出来ない。
なにも変わらない。



ただ立ち止まっているだけ。




岡田は私のだいぶ前を進んで進んで散っていってしまった。




早い早いうちに散ってしまったんだ。



私がこの動乱の時代の中でも前に進めるように強い香を残して。





「ありがとね岡田。あと………











さよなら。」







私が彼に別れを告げた日は、春の終わりをつげるような日だった。