蝶と蜘蛛2

紫「うっとおしいっていうのがわからないの?」

ぱちんと指を鳴らすと氷が砕ける。

紅「あらあ、殺さないのお?」

紫「ころす価値もない。それに私の手を汚すほどでもない」

そういってそっと流水に近づきそっと頬に振れて微笑む。

紫「ねえ?そうでしょ?」

周りが息をのむのが空気を通じてわかる。

本当、みんなクダラナイ。

私の顔に騙されている愚かな者たち。

そっと手を離しテラスへと歩く。

嗚呼、疲れる。

欲望がにじみ出る空気はたまらなく私の中の狂気を呼び覚ます。

でも、誰も殺そうとは思わない。

だって、簡単に死んでしまうものなんてつまらないじゃない?