宴へ私も強制的に出なければならない。

本当は眠っていたいの。

すべてを忘れて。

私は着物に袖を通す。

そして、新しい上掛けではなく、桜色の上掛けを羽織る。

蘭との思い出が詰まる上掛けを。

ああ、いつになったら彼はわたしより強くなる?

でも、きっと無理ね。

この5年間で私はさらに強くなった。

階級も華から月華へと昇格した。

勝手に定められただけだけどね?

胸に秘めるはあきらめとすこしの期待。

あのころと私はなにかかわったかしら?

そんなことを思いながら部屋を出る。