翌日、何時ものようにバテてしまいそうな暑さの日。

インターホンのベルが響き渡る。

私はそれに応じるまでのほんの数秒前まで、ある事が頭から消えていた。

「こーのーはっ」

来たのは凛ちゃん。そして思い出す。昨日、“真実を知りたければ来い”と返事をした事を。

「もしかして忘れていたんじゃないでしょうね?」

図星だよ。でも“そうです”なんて言える筈もなく。

「わ、忘れるなんてないでしょ!?」

一瞬、凛ちゃんの目が疑っているように見えたのはきっと気のせい。

「ほら、あがってあがって」

「お邪魔しまーす」

被っていた白い帽子を外し、家にあがる凛ちゃん。

横から見ると、本当に綺麗で日本人形みたいだ。

「今日は1人なの?」

「うん」

普段はいるお母さんも今日は用事でいない。だから今は私だけだった。