ライトグリーン・スカイ

「木葉、どうしたの？やっぱり嫌だった？」

そんな事ないでしょ。さっき嬉しいって言ったばかりなのにどうしてそう思うの？

すると私の様子を見てそう感じたのか、また何時にも増して優しい声でこう言う。

「泣いて大丈夫だよ。堪えるのは身体に良くないから」

その言葉が原因で遂に涙が溢れ出る。

溢れ出て来るのは良いけれど、それは止まる事はなく。拭っても拭っても拭い切れない。

歪んだ視界の中に尋の顔が映る。しゃがみ込んでいるのだろう。

次の瞬間には目元の涙を指で掬（すく）っていた。突然の事に私は驚く。

「泣くだけ泣いて。今なら僕は逃げないからさ」

その言葉に甘えるかのように、更に泣きじゃくる。

私の泣く声はきっと蝉よりも五月蝿かったに違いない。

気分が落ち着いたのはもっと先の事だった。