ライトグリーン・スカイ

「臆病なんかじゃないよ。でなければ、優しくは出来ないと思うから」

顔を上げて精一杯のフォロー。ちゃんと届いているかな?

苦笑しながらも少し怒りを含んだような声で、“そんなんじゃないよ”と尋は言う。

やっぱりこの男、バカと言う言葉がよくお似合いだ。

微かに揺れるブランコがキシキシと音を立てる。

ずっと握っているから、手にはきっと鉄の匂いが染みついているんだろうな。

そんな事を思いつつも、私はただただ尋の顔をじっと見つめるだけ。

我に返ったのか尋はまた私に謝った。だから謝る必要なんてないのに。

重々しい空気が流れる。私にはこの空気を壊すのは難しい。

「そうだった。渡したいものがあるんだった」

それを壊したのは尋。正直これは有り難い事だ。渡したい物。一体どんな物だろう?