ライトグリーン・スカイ

「僕らが帰って来てから、“何かを聞かせて”とか殆ど聞いていないから」

そう言われれば、確かにそんな気もする。

“今までのドイツ生活はどうだった?”位しか聞いていないような気がする。

「……元気だった?」

「?」

「そう、聞いて欲しかったんでしょ?」

なんか雪辱的。言われてからこんな事を聞く羽目になるとは。

今、私の顔は一体どんな風になっているのだろう?少なくとも笑ってはいない筈。

尋はくすりと笑うと“おかげさまで”と返事をする。

誰もがきっと無邪気でやさしい微笑みだと思うだろう。

けど私にはまた憎たらしく見えてしまう。見下されている感があって。

「そう言うとこやっぱりだ……」

「うん。分かっているから」

全てを言い切る前に彼は言葉を遮った。この後の言葉を知っていたかのように。