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「それでそれでー?その男子校の男とはどうなったの?付き合うわけ?」



今日の朝の出来事をお昼休みに、親友の橘結花(タチバナ ユウカ)通称ゆっちゃんに伝えると、すごくキラキラした目で食いついてきた。




「いや、だから…それからは、電車の中でお互い自己紹介して、連絡先交換して…雑談してただけだよ?」



「えー?だってそんな出会い中々ないわよ?付き合わないだなんてもったいない!」



ゆっちゃんは私にビシッと指をさしてきた。

私はその指をそっと握って元に戻すと、小さく息を吐いた。




「ゆっちゃんは何でもかんでも恋にもっていきすぎだよっ!別に彼にそういう感情抱いていないし…」


「でも、抱きしめられたときドキッてしたんでしょ?それに、今は恋じゃなくても、付き合ってみたら好きになるかもしれないじゃない!」


ドキッてしたのは確かだけど…
でもそれは突然の出来事だったからで…
しかも別に抱きしめられたっていうか、支えてもらっただけだし…



「それに、付き合ってから好きになるって順番おかしいよー!好きだから、付き合うんでしょ?」



「アンタねー、そんなこと言ってるから今まで一度も彼氏ができないのよ?アンタ可愛いんだから、もっと積極的にーー」


ゆっちゃんのマシンガントークのような一方的なお説教を右から左に聞き流して、私は小さくまたため息をついた。