「ちょっと、さっき何で逃げたんだよ?」 振り返ればそこには、息一つ切らさず平然と立っている先ほどの男の子の姿。 「あわわわわっ」 思わず後ずさると、ぐいっと腕を掴まれた。 「な、なにするんですかっ!」 「だってこうもしないと逃げるだろ?」 はい、ごもっともです。 今すぐにでも逃げ出したいです。 「なんで逃げんだよ」 「あ、うっ……」 言葉が詰まる。 自分でもなんで逃げてしまうのかがわからない。 うーん、本能……?