「返して」


つまんだリングを取り上げる。


姫川の鋭いネイルが手のひらに食い込んで痛かった。


「未練があるのかわからないんですけどぉ、こうやってわざと落としておくっていう作戦は古臭いですよぉ」


「はあ、何いってんの」


「負け惜しみにしか聞こえませんよぉ。そんなんだから、部長に嫌われるんですよぉ。もうちょっと女の子らしくしないとぉ。女の子なんだから、かわいくなくっちゃあ」


「大きなお世話よ」


「いまさらかわいいだなんて、熊井センパイには似合わないですよねぇ。ごめんなさぁい」


あんたも親や姉と同じことを言うのか。


頭の中が煮えくりかえりそうになる。